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最高裁判所第二小法廷 昭和40年(オ)1226号 判決 1967年8月25日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人の上告理由第一点について。

論旨は本件田畑の売買は知事の許可がないからその効力を生じていないのに、原審は買主たる被上告人に他の破産債権者に優先する権利を認めた違法があるという。しかし、農地の売買は知事の許可がないかぎり所有権移転の効力を生じないけれども、該契約はなんら効力を有しないものではなく、特段の事情のないかぎり、売主は知事に対して所定の許可申請手続をなすべき義務を負い、もしその許可があつたときは買主のため所有権移転登記手続をなすべき義務を負担するにいたるのである。もつとも、被上告人は本件田畑売買につきいまだ知事の許可を受けず、したがつて原判示仮登記を有するにすぎない以上、本件田畑は売主が破産宣告を受けるとともに破産財団に編入されるものであることは、論旨指摘のとおりであるが、原判決の引用する一審判決によれば、原審は、右仮登記が破産財団に対する関係においてもその効力を有し、被上告人が破産管財人に対して本件田畑の売買につき知事に対する許可申請手続を求めうるとともに、右許可を条件として右仮登記に基づく本登記手続の履行を求めうるものと判断しているのであり、所論のように、被上告人が仮登記のままで直ちに所有権取得を第三者に対抗しえ、もしくは他の破産債権者に優先する権利を有することを認めているわけではないことが明らかである。論旨は、原判決を正解せず、独自の見解に立つて、原審の適法にした判断を非難するものであつて、採用するに由ない。

同第二点について。

原判決(引用の一審判決)挙示の証拠関係に照らせば、被上告人と伴正春との間の本件田畑の売買が仮装売買とは認められない旨の原審の認定判断は、是認することができ、その過程に所論の違法は認められない。論旨は、原審の適法にした証拠の取捨判断、事実認定を非難するに帰し、採用するに由ない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 奥野健一 裁判官 草鹿浅之介 裁判官 城戸芳彦 裁判官 石田和外 裁判官 色川幸太郎)

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